ぼくの本(自 家 製 本 )たち

   シュンGの工房   案 内

 白秋編では

 初めての転任でぼくは広大な印旛沼に近い丘の上にある中学校へ赴任しました。その学校は教師として楽しく充実した生活をさせていただいた、心の故郷のような学校でした。 

 朱夏編に描いた北総台地の地域にある学校の印象は、古い田舎の文化の中で、ゆったりとした温かい空気が流れていたような印象ですが、人々の心の襞は深くかなり古い文化と人間関係を持っているというような印象を持ちました。それはぼくの肌には合いませんでした。

 それに比べてこの本で描いている印旛沼の周辺の地域の学校は都会に近い所為か、洗練された現代的な文化が広がっている印象を持ちました。その中ではヒエラルキーを意識しない対等の人間関係の「お互いに仲間だよ」というような感じがぼくにはとても合っていました 。

  自分でも思いますが印旛沼の周辺地域で過ごしたぼくは生き生きしていたと思います。

zsc

 
【 白秋・はじめに 】

  ふたりの記念写真

 

ある初夏
晴れ渡る奥日光の空
雄大な男体山を背景に
戦場ケ原の中央に寄り添って
ぼくと彼女は写真を撮った
あこがれと夢を追ってここまで来た孫娘と
老いてなお夢にさすらう祖父のように
    
次の春
人通りの多い校長室の前の廊下で
なお別れを惜しむ心を寄せて
ぼくと彼女は写真を撮った
卒業証書の筒とアルバムを抱えた孫娘と
正装の燕尾服姿の祖父のように
    
中学生の少女と校長
二人で写した記念写真が二枚
百二十五分の一秒の恋人同士のように
ずっとずっと永遠に向かって
一緒にいたことを証明するように
いま ぼくの机上にある
やがてセピア色に重なっていく時間の奥に
ぼくたちはいつまでも笑っているだろう
夢と笑顔は青春のままで


 

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