こんな詩集です
まだ少年の椅子を立ち上がったばかりの頃、ぼくはひとりぼっちを自分で慰めてでもいるようにギターを独習していました。そして、時を経て詩を書きメロディを口ずさんでひとつの歌を作りました。
やがて趣味で紡いだたくさんの詩作品を並べて何冊かの詩集を編みました。その詩集の一冊にかつてぼくがギターで作ったあの歌を楽譜と共に載せました。詩集を作ってくださった出版社の方が、多くの人々に「作者からの贈呈です」と広めてくださいました。するとぼくのところにたくさんのお礼の便りが届きました。
「このお別れの歌は私の心を歌っているようで感動しました。この秋に私は長年親しくしていただいた皆さんとの送別の会を行います。その宴の席で詩集にあったこの歌を歌わせていただきたいと思います。」
その中にこんなお便りがありました。ぼくはびっくりしました。
その作品は「さようならが言えない」です。拙いものですがメロディーを作った時の手書き五線譜のメモがありましたので今回も載せてみました。
この他にもそれぞれの作品を挙げてひとことの感想を寄せてくださったものが数点ありました。詩集をお贈りさせていただいた返礼のご感想はまさしく『こだま』のようだと思いました。お世辞の匂いはたっぷりと感じて恥ずかしくなりましたが、ぼくにはことのほか嬉しいものでした。
そこで、思い切ってみなさんからの『こだま』を集めて詩集を編んでみたいと思いました。
幸い返礼のお手紙やお電話をいただいた折の「記録ノート及びファイル」が残っていましたので、そのメモを中心に思いつくままに最初の詩集を編みましたが、その後にもう少し念入りにと思い、メモや返礼のお手紙などを再度、読み返すとさらにいくつかの作品が見つかりました。「感想のことば」を添えて選んでいただいたものだけを拾い、それらを最初に編んだ詩集に付け足して、再版の形で今回の詩集『こだま』を編み直しました。
みなさまに選んでいただいた作品で編んだ詩集のようでとても嬉しく思っています。
著者
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