思い出の玉手箱                                               案  内   
om10
火を祈る夏のキャンプの夜の祭り

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今年はキャンプファイヤーの「火の儀式」で女神になった女の子をぼくの菅沼アルバムの最初に貼ろうと思う。みんなのためにあんなに緊張して、真っ白なカーテンに身を包んで小学生のように誓いのことばを言っていた。四人の天使に分火をする小さな女の子の真剣な表情を火は赤々と映し出していた。そのいかにも中学二年生らしい端正な後ろ姿にも緊張がみなぎり美しい姿であった。彼女はぼくのハクサンフウロによく似合う。
 中央の残り火を囲んでフォークダンスを踊ったときに、
「あたしだよ先生、女神!」
 そう言って弾むように踊って去っていった。彼女が誰で何という名前か未だにわからないのだが、それでいいと思う。また菅沼に来るだろう。どこかでハクサンフウロに出会うだろう。そのときぼくは女神の女の子を思い出すだろう。少女の真剣な美しい姿を鮮やかに見るだろう。

 上記の詩の一部分はぼくの詩の「ハクサンフウロの頬笑み」から採った。写真に女神は写っていない。女神は今、「四人の天使」に分火して中央の火の反対側に居る。正面に座っているのが火の長のぼく、隣に立っている白いズボンの女の子は「四人の天使」役のひとりの少女である。中央への点火が終わり、いくつかのセレモニーが続き、これから歌が始まる。♩遠き山に陽は落ちて〜〜〜♫
 中学校の教師をしていた時、どこの学校でもぼくたち中学2年生はここ菅沼(奥日光・金精峠を越えて群馬県片品村に入ったところにあるキャンプ場)にきた。そして、火の儀式の後で「キャンプファイアー」を楽しんだ。校長先生のぼくは「火の長」になった。そして、儀式の宣言を厳かに唱えた。何とも懐かしい思い出である。そう・・・、校長でない時も含めて20回ぐらいここへ来たかもしれない。

 * ハクサンフウロとは花の名前で、高山植物だと思う。が、今は我が家の庭にも夏になると咲く。