思い出の玉手箱
涼風にたどる思い出秋さやか
秘かにも誉れ掲げて夏終わる
先生も子らも教え子秋日和
憧れへ扉を開ける春を待つ
木もれ日も晩夏になりて立つ人と 花たちに光の春をプレゼント
蟻の町マリアのまなざし遠い夏 陽だまりに思い出の影遠い秋
園児らと「おさかな天国」秋を舞う
火を祈る夏のキャンプの夜の祭り
夏よ来い逃げる心音をつかまえろ
待つ子らにサンタ演じて鈴の音
頬杖に思いが通う居間の春
その一日歩き疲れてパリの秋
行水の子を洗いつつ蝉時雨
教壇に立つ同窓の秋の宴
青春に別れを告げて秋の道
やわらかくクラリネットの秋の音
幼子のお話しこぼし夏が行く
温かい異国の伝説(はなし)秋の旅
笛の音に面影揺れて夏の空
やわらかく梅雨に抱かれて迎え傘
クシベシとコロボックルや冬の風
幼き日我に賜ひし弾き語り つま弾く今宵お酒とふたり
● 隠岐おもい波に晩夏の詩(うた)を聞く