思い出の玉手箱                                               案  内   
om18
やわらかくクラリネットの秋の音

 
 
教師になって五年が過ぎた頃だったでしょうか。まるで異文化と言えるような千葉県の田舎の町に就職した所為で親しい友人ができていない頃、ぼくはなんとはないもの寂しさで土日には東京の実家へ行っていました。そして、日曜日の午後は渋谷の街の喫茶店で音楽を聴きながらコーヒーを飲んで、それから東京駅へ行って総武線・総武本線で田舎町へ戻りました。たぶん、その頃に聞いていた鈴木章治さんや北村英治さんのジャズのクラリネットに誘い込まれるようになりました。自分もできれば吹いてみたいと思い、ボーナスというまとまったお金をいただいてクラリネットを買ってしまいました。結構難しくて独学でしたが懸命に練習をしていました。なかなかものになりませんでした。でも、当時はギターをやっていましたので、曲を聴くとそのメロディを音符にできましたから、それでクラリネットを楽しんでいました。ギターよりは易しかったから楽しかったのは覚えています。


 新しい学校へ転任になっての中学二年生でのクラスで、放課後の楽しみ会を開いてそのときに生徒たちの前でクラリネットを演奏してびっくりされました。演目はこのクラスの歌「いぬのおまわりさん」でした。「先生、すごいよ。でも腕はまだまだだね。」という批評を覚えています。腹を立ててより練習に励みましたが、歯槽膿漏とかいう歯の病で下の前歯が取れてしまって演奏できなくなりました。歯を治してもなかなかにうまくいかず、やっぱり五年ぐらいで諦めてしまいました。残念です。
 最近の朝ドラのカムカムで昔のジャスを聴いて、ふと思い出して昔のアルバムを見ていたらこんな写真が出てきました。つい二、三年前にもちょっと使ったことがありますが、その懐かしさに今回ここに載せてみることにしました。