もし 思い出行きの電車があって
あの町への切符があったなら
たとえどんなに遠くても
たとえその切符の値段が
どんなに高くても
そんな切符があったなら
あの子の町までの切符を買って
ぼくは会いに行きたいと思います
一枝の果実の
たわわな奴を肩にして
会いに行こうと思います
とっても明るい日だったっけ
露地から棒を振り回して
飛び出してきた女の子
五、六人の男の子を従えて
美しい娘になった
あの水飴屋の女の子に
会いに行こうと思います
シベリア鉄道の九十にち間
バイカル湖から天の川へ登る
イルカに引かれた
水上の馬車のような
そんな電車に乗って
夢の高原をゆき
白樺の林を過ぎると
むせるような思い出の予感が漂います
遠い追憶の中で
友と青春の草むらに腹ばい
若さいっぱい笑顔の花を咲かせていた
あの女の子に
星を磨いて夜空を飾り
月を抱いて明日へ微笑んでいた
あの女の子に
心の底から会いたいと思うのです