恋 唄
きみに言いたいことがある
おぼろ月夜に辛夷の花が
レモン色に輝いたのはわかるよ
でも流れ星はぼくの心にバウンドして
彼方に流れ去ったよね?
けれどもきみは言う
たしか月光が美しくて
花たちがその光を浴びながら
幸せに酔っていたのかもしれない
(だから私も酔って)
私の瞳が星になって
あなたの胸に飛び込んでみたけれど
あなたの心は固くて入れなかったよ
ちょっと待ってよ
ぼくだって月光を浴びて
ひとりで夜道を歩いていたよ
枯れた落ち葉の足音のように
ぼくの思いが言葉の波になって
きみの心に打ち寄せていたはずだよ
でもね
言葉の波に私の舟は揺れていたの
なんだかね
あなたの港に係留できなかったの
わかるけど、寂しいな
夕べ
心が寒いから肩の温もりを貸してって
寄り掛かってきたのはきみじゃないか
冷えた心の訳なんか
ぼくは聞かなかったし
きみは言わなかったよ
ただ一緒に
あの恋唄を歌ったじゃないか
ふたりで揺れたじゃないか
それでよかったじゃないか